TCFD情報開示
COP21(第21回國連気候変動枠組條約締約國會議)で採択されたパリ協定を機に、世界的に脫炭素社會へ向けた動きが広がっています。グローバルに事業を展開しているファナックグループにとっても、気候変動は重要な経営課題であると認識し、取り組みを推進しています。
こうした中、ファナックは2021年12月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言(以下、TCFD提言)への賛同を表明しました。
今後もTCFD提言のフレームワークを活用して、継続的に情報開示の質と量を充実させるとともに、気候変動への取り組みを一層推進し、持続可能な社會の実現に貢獻してまいります。
ガバナンス
ファナックは気候変動を重要な経営課題の一つと認識しています。
代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員會」において、気候変動に関する重要な方針や施策について審議?決定を行い、取締役會に報告します。
取締役會は報告內容に基づいて、気候変動に関連するリスクと機會の特定と対策が適切に推進されるよう監督を行います。
戦略
ファナックは気候変動に関連するリスクと機會を特定し、それらがファナックグループの事業に及ぼす影響を確認するために、FA事業、ロボット事業およびロボマシン事業について、1.5°Cシナリオ、2°Cシナリオ、4°Cシナリオを用いて、中期(2030年)と長期(2050年)を対象にシナリオ分析を実施しました。シナリオ分析にあたり、1.5°CにおいてはIEA NZE、IPCC RCP1.9など、2°CにおいてはIEA SDS、IPCC RCP2.6など、4°CにおいてはIEA STEPS、IPCC RCP8.5などを參照しました。各シナリオに対して、気候変動に関連するリスクと機會を洗い出し、事業への影響度を定量的かつ定性的に検証?評価しました。
このうち、事業へ大きな影響を與えるリスクとして「炭素稅の導入によるコスト増」、「原材料価格の上昇によるコスト増」および「消費者の行動変容やEV/FCV化による一部ファナック商品の需要減」を特定し、機會として「省エネ?ロボット化によるファナック商品の需要増」、「EV/FCV化によるファナック商品の需要増」を特定しました。
1.5°Cおよび2°Cシナリオでは、脫炭素化への移行に伴う大きな社會変化が起こる世界が想定されます。炭素稅の導入や原材料価格の上昇によりコストが増加する可能性がありますが、省エネ?ロボット化やEV/FCV化が拡大することにより、FA事業、ロボット事業およびロボマシン事業を拡大できると考えます。4°Cシナリオでは低炭素化は推進されず、平均気溫上昇等の気候変動により自然災害の激甚化が想定されます。これにより生産拠點等が被害を受け、生産にマイナスの影響が生じるとともに復舊コストが増加する可能性がありますので、事業継続計畫(BCP)対応を推進し、物理面でのリスクに対応してまいります。
今回、FA事業、ロボット事業およびロボマシン事業についてシナリオ分析を行った結果、分析で使用したいずれのシナリオにおいても、これらの事業は高いレジリエンスを有していると評価しました。今後、特定したリスクへの対応と機會の実現に向けて、取り組みを一層推進してまいります。
リスク管理
ファナックは、事業の継続性、企業価値の向上、企業活動の持続的発展を阻害するおそれのあるリスクに対処するため、リスクマネジメント委員會およびリスクマネジメント規程を設け、取締役會の監督のもと、適切なリスクマネジメントを行っています。気候変動に関するリスクについても、この中に位置づけてリスク管理します。
指標?目標
2021年度のファナックグループの溫室効果ガス(GHG)排出量(Scope1, 2, 3)については以下の通りです。
*GHG排出量(Scope1, 2, 3)に関する第三者検証報告書についてはこちらをご覧ください。
ファナックは2050年までにファナックグループの事業活動に伴うGHG排出量(Scope1, 2)をゼロにするという長期目標を設定しています。この長期目標の実現に向けて、2030年までに同排出量を42%削減する(2020年比)という中期目標を定めています。Scope3については販売した製品の使用による排出量(カテゴリ11)を2030年までに12.3%削減(2020年比)することを目指します。
これらの中期目標についてはSBT(Science Based Targets)イニシアチブより認定を取得しています。
2021年度のScope1, 2は基準年比で5.7%減となりました。
主な要因は、本社地區、壬生工場及び筑波工場などにおいて、使用する電力の一部を再生可能エネルギー由來の電力に切り替えたことよります。2022年度には本社地區、壬生地區における太陽光パネルの設置、稼働を予定し、一層の排出削減を目指します。
2021年度のScope3の販売した製品の使用による排出量(カテゴリ11)は基準年比で42.2%増となりました。主な要因は當社商品の大幅な販売増によるものです。今後も引き続き、FA、ロボット及びロボマシン商品における省エネ性能を更に向上させることにより、排出削減を目指します。